さて、まだまだこれで完了ではありません。
この後、「消化」という工程が待っています。
上の、シャベルに乗った生石灰を、社員の方がその辺にあった水たまりにぱらぱらっとばらまくと!
ポップコーンみたいにはじけ飛ぶ石も。
しばらく見ていると、固体だった石が
だんだんと溶けて?ドロドロした粉状のものになっていきました。
この工程を「消化」というんだそうです。
「生石灰」に水を加えて粉状の「消石灰」になるという工程。
実は「消化」と聞くと、ご飯を食べて消化吸収するっていうほうの「消化」のイメージが強かったのですが
「消化」は「消化」でも
「水和反応・消和反応」という意味合いの「消化」なんだそうですよ。
つまり、「水を加えて、ある化学種に水分子がくっつく反応」です。
化学式としては
生石灰(CaO・酸化カルシウム) + 水(H2O) ⇒ 消石灰(Ca(OH)2・水酸化カルシウム)
となります。
この時に見た湯気は、消化の時の反応によって発熱したため
水分が一気に蒸発して出たものだったんです。
最近はあまり見ませんが、缶や袋入りのお菓子によく入っていた「lime」と書かれた乾燥剤。
あれ、実はこの生石灰なんですって。
湿気を吸い取ってくれるけど、「発熱しますので注意!」みたいなことが書かれてましたよね。
あの乾燥剤は、この生石灰の水和反応の熱を利用しているんですよ。
さて、工場内での実際の消化工程は見られなかったのですが
別室で、少量の生石灰での実験を見せていただけました。
ちょっと遠目だったので上手に撮れていませんが
ボールに生石灰を入れて
水を入れて反応させている様子です。
さっきと同じ、ポップコーンみたいにはじけるはじける!
湯気が出て、落ち着いてくると、ドロドロしたクリーム状になっていきました。
粉状の漆喰を作るには、
もっと調整して水を加えるんですって。
そうすると、反応して消化に使われる水分と、
反応によって出た熱で蒸発してしまう水分に分かれるので
結果として水気が全くなくなり
さらさらとした、粉状の消石灰(漆喰)が出来上がるわけです!
反応後、ボールの底を触らせていただきましたが
かなりの熱を帯びていましたよ。
砕くわけでも挽くわけでもなく
自然の化学反応でこんなさらさらの状態になってしまうんですね。
そして、できあがった粉状の消石灰に、現場で水・麻スサ・のりなどを混ぜると
iestoryで使用する漆喰の出来上がりというわけです。